プラスチックの生分解性評価法(好気的)
1. はじめに
近年、海洋プラスチックごみ問題や地球環境問題への関心の高まりを背景に、生分解性プラスチックが社会的に注目されている。プラスチック廃棄物の環境中への流出が問題視される中で、「自然に還る材料」としての生分解性プラスチックへの期待は大きい。一方で、「生分解性」という言葉が独り歩きし、あたかもあらゆる環境中で速やかに完全分解する材料であるかのように理解される場面も少なくない。
実際には、生分解性プラスチックであっても、その分解挙動は使用後に置かれる環境条件によって大きく異なる。適切な評価と理解がなされないまま用途展開が進めば、過度な期待や誤解を招くおそれがある。生分解性プラスチックを適切に社会実装していくためには、材料特性を認識し、用途や使用環境に応じて選択・設計することが重要であり、その基盤となるのが生分解性評価法に関する理解であると考える。
主な生分解性プラスチックの試験規格として、ISO (International Organization for Standardization:国際標準化機構)が定めるISO規格やASTM International (旧称:American Society for Testing and Materials/米国材料試験協会)が定めるASTM規格がある。生分解性プラスチックの試験結果は、生分解性プラスチックを認証する機関の基礎データとなる。
ISO 規格で規定されている生分解性試験は、植種源や試験条件を一定に管理した条件下で、材料が最終的に無機化(水、二酸化炭素)に至るかどうか、すなわち究極生分解性を評価する。生分解性試験では、材料を生分解する微生物を含む環境媒体(土壌、海水、底質など)や廃棄物処理施設由来の媒体(活性汚泥、コンポストなど)を植種源と呼び、これらの微生物の代謝活動によって試験材料の生分解が進行する。
本稿では、一般社団法人日本バイオプラスチック協会(JBPA)が運営する生分解性プラ識別表示制度に関連する生分解性プラスチックの評価法について、その基本的な考え方、評価法が確立された背景、及び代表的な試験法の特徴を紹介する。